派遣社員として妊活を考えている方が増えています。
通院や体調管理と仕事を両立させる上で、派遣という働き方には多くのメリットがあります。
しかし、同時にデメリットや契約更新に関するリスクも存在します。
例えば、妊活中は派遣とパートどっちがいいのか、派遣社員でも育休は取得できるのか、といった具体的な疑問が次々と浮かんでくるでしょう。
また、派遣社員が妊娠したらクビになるのではないかという深刻な不安や、妊娠したらいつ派遣会社に伝えるべきか、そのタイミングに悩む方も少なくありません。
この記事では、派遣社員として妊活を進める上で知っておきたい様々なポイントを、分かりやすく解説します。
記事のポイント
- 派遣社員として妊活するメリット・デメリット
- 派遣とパートの働き方の違い
- 妊娠・出産に関する派遣社員の権利(育休・解)
- 派遣会社への報告タイミングと注意点
目次
派遣社員として妊活するメリットと働き方
- 妊活と両立しやすいメリット
- 知っておきたいデメリット
- 妊活中は派遣とパートどっちがいい?
- 時間や場所を選べる柔軟な勤務形態
- これまでのキャリアを活かせる仕事

うちの子たち、もう大きいけど、それでも学校の用事とかあるし。
妊活で通院するってなったら、なおさら派遣のほうが調整しやすいかも。
まぁ、不安定さとは背中合わせだけどね!
妊活と両立しやすいメリット
派遣社員という働き方は、妊活と両立しやすい多くのメリットを提供します。
最大の利点は、勤務時間や勤務日数、勤務地といった条件を自分のライフスタイルに合わせて選びやすい点にあります。
妊活中は、排卵日に合わせた通院や体調不良による急な休みが必要になることも少なくありません。
派遣であれば、最初から「残業なし」や「週4日勤務」といった条件で契約を結ぶことが可能です。
これにより、通院スケジュールを組みやすくなるだけでなく、日々のストレスを軽減し、規則正しい生活を送りやすくなります。
また、業務内容が契約によって明確に定められているため、責任範囲が限定的であることも精神的な負担軽減につながります。
正社員のように突発的な残業や広範な責任を負うことが少ないため、仕事とプライベートのバランスを取りやすい環境と言えるでしょう。
知っておきたいデメリット
一方で、派遣社員として妊活を行う際には、知っておくべきデメリットも存在します。
最も大きな懸念点は、雇用の不安定さです。
派遣社員は契約期間が定められた有期雇用が基本であり、契約が必ずしも更新されるとは限りません。
妊活や妊娠が直接的な理由でなくとも、派遣先の業績悪化や方針変更によって、契約が終了(雇止め)となるリスクは常に伴います。
また、福利厚生面での違いも考慮する必要があります。
多くの場合、派遣社員には正社員のようなボーナス(賞与)や退職金が支給されません。
時給制であるため、年末年始やお盆などの長期休暇がある月は、勤務日数が減り、月収が下がる可能性もあります。
キャリア形成の面でも、責任あるポジションに就く機会が少なく、昇給の機会も限られることが一般的です。
妊活中は派遣とパートどっちがいい?
妊活中の働き方として、派遣社員とパートタイム勤務のどちらが良いか悩む方も多いでしょう。
これは、何を最優先にするかによって選択が変わってきます。
時給の面では、派遣社員の方がパートタイムよりも高い傾向にあります。
これまでのスキルや経験を活かせる専門的な業務も多いため、効率的に収入を得たい場合には派遣が有利です。
また、派遣会社が間に入るため、社会保険の加入手続きや、職場との条件交渉などをサポートしてもらえる利点もあります。
一方、パートタイムは「扶養の範囲内で働きたい」といった細かな収入調整がしやすい点が特徴です。
自宅の近所で短時間だけ働くなど、より地域密着型で柔軟な働き方を選びやすい傾向があります。
社会保険(健康保険・厚生年金)については、派遣・パートの区分けではなく、労働時間や日数などの加入要件を満たせばどちらでも加入できます。
社会保険に加入していれば、出産手当金や、万が一の際の傷病手当金の対象となるため、妊活中はこの点も考慮に入れると良いでしょう。
| 項目 | 派遣社員 | パート・アルバイト |
|---|---|---|
| 時給 | 比較的高い傾向 | 派遣より低い傾向が多い |
| 社会保険 | 加入要件を満たせば可能(派遣会社による) | 加入要件を満たせば可能 |
| 扶養の範囲 | 調整可能だが高時給だと難しい場合も | 調整しやすい |
| 仕事内容 | スキルや経験を活かせる場合が多い | 未経験可の業務が多い |
| サポート | 派遣会社の担当者によるサポートがある | 基本的にない(職場による) |
時間や場所を選べる柔軟な勤務形態
妊活と仕事を両立させる上で、働き方の柔軟性は非常に大切です。
派遣社員の求人は、勤務時間や勤務地、勤務日数など、希望条件を細かく指定して探せる点が大きな魅力です。
例えば、「通院に便利なターミナル駅の近く」「午前中のみの短時間勤務」「週3日だけ働きたい」といった、正社員では見つけにくい条件の仕事も、派遣なら見つかる可能性が高まります。
近年では在宅ワーク(テレワーク)が可能な求人も増えており、通勤の負担をなくすことで、体調管理や通院時間の確保がさらに容易になります。
妊活中は心身ともにデリケートになりがちです。
無理のない働き方を自分で選べることは、妊活を続ける上で大きな支えとなるでしょう。
これまでのキャリアを活かせる仕事
妊活を理由にキャリアを中断したり、全く異なる分野で働いたりすることに抵抗を感じる方もいるかもしれません。
派遣社員であれば、これまでに培ってきた経験や専門スキルを活かせる仕事を見つけることも可能です。
事務職、経理、貿易、ITエンジニア、WEBデザイン、翻訳など、専門性の高い分野での派遣求人は多く存在します。
高い時給が設定されていることもあり、短時間勤務であっても一定の収入を確保できる可能性があります。
妊活期間中にキャリアのブランクを作らずに社会と関わり続けることは、将来の復職を考えた際にもプラスに働きます。
妊活を優先しながらも、自身のキャリアを維持したいと考える方にとって、派遣は有効な選択肢の一つです。
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派遣社員の妊活で知るべき制度と注意点
- 派遣社員の育休取得条件とは
- 派遣社員が妊娠したらクビになる?
- 契約更新への影響と備え
- 妊娠はいつ派遣会社に伝えるべきか
- 派遣会社のサポートをうまく活用しよう
- まとめ|派遣社員として妊活を成功させるには

特に「いつ派遣会社に伝えるか」って、一番悩むポイントじゃない?
法律で守られてるって言われても、やっぱり契約更新のこととか考えちゃうし…。
ウチも派遣だからわかるけど、派遣元の担当さんと普段からうまくやっておくのも、結構大事な気がするな。
派遣社員の育休取得条件とは
派遣社員であっても、法律に基づき産休(産前産後休業)や育休(育児休業)を取得する権利があります。
産休は、雇用形態に関わらず、出産予定日を基準に取得が認められています。
一方、育休の取得にはいくつかの条件がありますが、2022年4月の法改正により、以前よりも取得しやすくなりました。
現在の主な育休取得要件は以下の通りです(派遣元=派遣会社の労使協定により一部異なる場合があります)。
- 子どもが1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合は更新後の契約)が満了することが明らかでないこと
- 週の所定労働日数が3日以上あること
以前は「同一の事業主(派遣元)に1年以上継続して雇用されていること」という要件がありましたが、現在は撤廃されています。
つまり、派遣会社に登録して間もない場合でも、契約状況によっては育休を取得できる可能性があります。
育休中は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
育休の取得要件は法改正によって変更される場合があります。
最新の情報や詳細については、厚生労働省のWebサイトをご確認ください。
派遣社員が妊娠したらクビになる?
「派遣社員が妊娠したらクビになるのではないか」という不安は、多くの方が抱くものです。
しかし、結論から言えば、妊娠・出産を理由とした解雇や契約の打ち切り(雇止め)は、男女雇用機会均等法によって固く禁止されています。
これは、いわゆる「マタニティハラスメント(マタハラ)」にあたり、違法行為です。
派遣先や派遣元(派遣会社)は、派遣社員が妊娠したこと、産休・育休を取得することを理由に、解雇したり、契約を更新しなかったり、減給や不当な配置転換を行ったりすることはできません。
ただし、注意点もあります。
派遣契約はもともと期間が定められているため、妊娠とは全く関係のない正当な理由(例:派遣先の業務プロジェクトが終了した、本人の勤務態度や能力に著しい問題があったなど)によって、契約期間満了時に更新されない可能性はゼロではありません。
妊娠・出産を理由とした解雇や雇止め(契約更新の拒否)は、派遣社員を含め、法律で固く禁止されています。
契約更新への影響と備え
前述の通り、妊娠を理由にした契約更新の拒否は違法です。
しかし、有期雇用である派遣社員にとって、契約更新のタイミングは常に一つの区切りとなります。
妊活中や妊娠が判明したタイミングが契約更新時期と重なった場合、不安を感じることもあるでしょう。
派遣先が「妊娠しているスタッフ」ではなく、「長期で働ける別のスタッフ」を希望する可能性も否定はできません。
このようなリスクに備えるためには、まず派遣会社(派遣元)に早めに相談することが大切です。
妊活中であることを事前に伝えておけば、産休・育休の取得実績が豊富な派遣先や、妊活に理解のある職場を紹介してもらえる可能性が高まります。
また、同じ派遣先で長く働きたい場合は、派遣元の無期雇用派遣社員(派遣会社の正社員または無期契約社員)になるという選択肢もありますが、これは切り替えのタイミングや派遣会社の制度によるため、担当者との相談が必要です。
妊娠はいつ派遣会社に伝えるべきか
妊娠が判明した場合、まずは派遣先(指揮命令をしている会社)ではなく、雇用主である派遣会社(派遣元)の担当者に報告するのが正しい手順です。
報告のタイミングについては、法律で定められているわけではありませんが、一般的には体調が安定してくる「安定期」に入ってから報告するケースが多いようです。
ただし、これはあくまで目安です。以下のような場合は、早めに報告することをおすすめします。
- つわりが重く、欠勤や早退、休憩時間の延長が必要な場合
- 立ち仕事や力仕事、有害物質を扱う業務など、身体への負担が大きい仕事内容である場合
- 医師から業務の軽減などを指示された場合(母性健康管理措置)
派遣会社は、報告を受けて派遣先と業務内容の調整や、産休・育休の手続きについて協議します。
派遣先に直接伝えると、かえって話が複雑になることもあるため、必ず派遣会社の担当者を通しましょう。
派遣会社のサポートをうまく活用しよう
派遣社員として妊活や妊娠・出産を乗り切るためには、派遣会社のサポートを最大限に活用することが鍵となります。
派遣会社の担当者は、派遣社員と派遣先の間に立ち、様々な調整を行う役割を担っています。
妊活中であることを事前に相談しておけば、通院への配慮が得られやすい職場探しを手伝ってくれます。
また、妊娠報告後の手続きや、万が一派遣先でマタハラのような不利益な扱いを受けた場合の相談窓口にもなります。
派遣会社によっては、産休・育休制度に関する説明会を開催していたり、復職支援プログラムを用意していたりする場合もあります。
利用できる制度やサポートは積極的に活用し、不安を一人で抱え込まないようにすることが大切です。
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まとめ|派遣社員として妊活を成功させるには
ま と め
- 派遣社員として妊活することにはメリット・デメリット両方がある
- メリットは勤務時間や場所の柔軟性、残業の少なさ
- デメリットは雇用の不安定さやボーナス・退職金がないこと
- 妊活中は派遣とパートどちらが良いか、優先順位で決める
- 派遣は時給が高く、パートは扶養内調整がしやすい傾向
- 派遣は在宅ワークや時短など希望条件で仕事を探しやすい
- これまでのキャリアやスキルを活かせる仕事も見つかる
- 派遣社員も法律に基づき産休・育休を取得できる
- 2022年の法改正で育休の「1年以上の継続雇用」要件は撤廃
- 妊娠を理由とした解雇や雇止めは法律で禁止されている
- ただし契約期間満了による終了リスクはゼロではない
- 妊娠報告はまず派遣会社(派遣元)の担当者に行う
- 報告タイミングは安定期が一般的だが、体調次第で早めに相談
- つわりが重い場合や業務配慮が必要な場合は早期報告が望ましい
- 派遣会社のサポート(職場探し、条件交渉)を活用することが重要
- 妊活に理解のある職場や産休実績のある派遣先を選ぶと安心
